「Technical PM」とは何者なのか。求人検索で迷子になった私がたどり着いた肩書き
「お仕事は何をされているんですか?」
実は、この質問が少し苦手です。理由は、一言で説明できる肩書がないから。
普段の仕事では、要件定義や情報設計を行い、ワイヤーフレームを作成し、UIを考え、HubSpotやWordPressなどの設計・実装を行い、アクセス解析や改善提案、AIを活用した業務改善まで担当しています。
では私は何者なのか。Webディレクターなのか、エンジニアなのか、PMなのか。
どれも間違いではありません。でも、どれもしっくりきませんでした。
この記事でわかること
- 肩書きが仕事内容を的確に表現しきれない場合、適切な肩書きを見つけるのは難しい
- 「Technical PM」は技術的な要素とプロジェクト管理を組み合わせた肩書きであり、業界で統一された定義がない
- 肩書きは相手に自分の仕事内容を伝えるための手段であり、その価値を正確に伝えるために重要
- 求人検索で適切な肩書きが見つからず、自分の仕事を表現する言葉を模索するプロセスが挙げられる
- 肩書きは時代や市場の変化によって変わる可能性があり、自己価値を伝える手段として意識する必要がある
- 仕事内容や提供価値を最も適切に表現できる肩書きを見つけることが重要であり、肩書きはゴールではない
Webディレクターと言うと、何かが足りない
これまで一番多く名乗ってきたのは「Webディレクター」です。ただ、この肩書を名乗るたびに少しだけ違和感がありました。
一般的なWebディレクターというと、
- 制作進行を行う人
- スケジュールを管理する人
- デザイナーやエンジニアへ指示を出す人
というイメージを持たれることが多いと思います。もちろん、それらも仕事の一部です。
しかし私の場合は、HubSpotのモジュールを実装したり、WordPressの構造を考えたり、Gitを使って開発したり、AIを使って設計や改善を進めたりと、技術的な領域まで踏み込むことが少なくありません。
「Webディレクター」という言葉だけでは、この部分が伝わらないのです。

エンジニアでもない
ではエンジニアかと言われると、それも違います。
コードを書くことはありますが、私が一番価値を発揮できるように感じるのは、コードを書くことそのものではありません。
- 「何を作るべきか」
- 「本当にWebサイトで解決するべき課題なのか」
こういった根っこの部分を考え、関係者と認識を合わせ、形にしていくことです。
技術は手段であって、目的ではありません。だからエンジニアという肩書にも違和感がありました。
求人検索で、毎回迷子になる
違和感を一番強く感じるのが、求人サイトや案件マッチングサイトを見るときです。
職種を選択してください。
そう表示されるたびに考え込みます。
Webディレクター……。
少し違う。
PM……?
広すぎる。
UI/UXデザイナー……?
設計はするけれど、デザイン専門ではないなぁ。
フロントエンドエンジニア……
実装はするけれど、それだけではないし……。
どれを選んでも、自分の仕事の一部分しか表せません。案件を探したり、エージェントに登録する度、自分をどう表現すればいいのか悩むようになりました。
AIと一緒に肩書を考え続けた
この肩書探しにはAIにも付き合ってもらいました。
- Technical Director
- Technical Consultant
- Solution Architect
- UX Engineer
- Web Strategist
- Web Partner
思いつく限りの肩書を並べて、一つひとつ比較していきます。
- 「これは技術寄りすぎる」
- 「これはコンサル色が強い」
- 「これは日本では伝わらない」
そんな壁打ちを何度も繰り返しました。何なら、今でも繰り返しています(笑)。
肩書をかっこよく見せたいわけではありません。自分の仕事を、誤解なく伝えられる言葉を探しているだけなのです。

一番近かったのが「Technical PM」
最終的に、一番しっくりきたのが「Technical PM」でした。
技術を理解しながら、要件定義を行い、プロジェクトを前に進める。
エンジニアとも会話できる。
ビジネス側とも会話できる。
私が普段やっている仕事に、一番近い言葉だと感じました。
ようやく、自分を説明できる肩書が見つかったかも……!
そう思いました。
ところが、日本ではまだ十分に浸透していない
そんな中、新しい悩みが生まれます。
「Technical PMって何ですか?」
思っていた以上に、この肩書は日本では浸透していなかったのです。求人検索でもヒットする数は多くなく、職種の選択肢に表示もされません。
エージェントとの面談でも、「Webディレクターの方が伝わりますね」と言われます。
つまり、自分を最も正確に表現できる肩書と、市場で最も伝わる肩書が一致しないのです。結局、今でも場面によっては「Webディレクター」と名乗ることがあります。
仕事内容が変わってないのですが、相手に伝わる言葉を選ぶ必要があるという理解に至りました。
そこで改めて調べてみた
肩書きを名乗る以上、「Technical PM」という言葉が一般的にどう使われているのかを改めて調べてみました。
すると、一つ分かったことがあります。
実は、Technical PMという肩書きには業界全体で統一された定義がありません。
Project Manager(PM)はPMI(Project Management Institute)などでも役割が整理されていますが、「Technical PM」は企業によって意味が異なります。
海外では「Technical Program Manager(TPM)」という職種が近く、
- 技術チームとビジネス側の橋渡し
- 技術的な課題整理
- 関係者との調整
- プロジェクト推進
などを担当するケースが多いようです。
一方で、自分で実装する人もいれば、実装しない人もいます。
つまり、「Technical PMとはこれです」と言い切れるものではありません。だからこそ、「Technical PMを名乗る」と決めたあとも、少し迷いが残っていました。
その上で私はこう考えています
私は、Technical PMを
要件整理から情報設計、技術判断、CMS設計、実装、改善までを横断し、ビジネスと制作・技術の橋渡しを行う役割
として使っています。
これは業界共通の定義ではありません。私自身の仕事を、一番誤解なく伝えるための言葉です。
本当は「Webパートナー」が一番好き
実は、「Webパートナー」という肩書を名刺に記載しています。
私がやりたいのは、Webサイトを作ることではありません。依頼されたものをそのまま形にすることでもありません。
「その課題は、本当にWebサイトで解決できますか?」
この問いから始めて、一緒に考え、必要であればWeb以外の方法も含めて提案する。完成して終わりではなく、その後の運用や改善まで伴走する。
そんな関わり方が理想だと思っています。
だから、本音では「Webパートナー」という言葉が一番しっくりきます。
今も、「Technical PM」という肩書きを広めたいわけではありません。私が届けている仕事を、最も誤解なく伝えられる言葉として使っています。もし将来、もっと適切な言葉が生まれたら、その肩書きを選ぶと思います。
肩書は、ゴールではない
肩書は、自分を飾るためのものではありません。
相手と共通認識をつくるための言葉です。きっと、時代や市場が変われば、同じように肩書も変わっていくように思います。
数年後には、「Webパートナー」という言葉が自然に伝わる時代になっているかもしれません。あるいは、まったく新しい肩書が生まれているかもしれません。
どちらにせよ、今の私にとって「Technical PM」はゴールではありません。
現時点で、一番誤解なく仕事を伝えられる、仮の答えです。
もしこの記事を読んで、「自分もどの肩書もしっくりこない」と感じている方がいたら、それは決して珍しいことではない、とお伝えしたいです。
働き方が変われば、肩書も変わります。
大切なのは肩書そのものではなく、自分がどんな価値を届けているのか、ではないでしょうか。
私はこれからも、その価値を少しでも正確に伝えられる言葉を探し続けたいと思っています。