【フリーランス体験談】フリーランスの案件獲得、SNSよりエージェントのほうが現実的だった話
フリーランスとして仕事を続けていく中で、案件の獲得手段は常に悩ましい問題である。
私も例に漏れず、WantedlyやYOUTRUSTといったSNS型のマッチングサービスを活用しながら、「直接やり取りできる案件に出会えたらラッキー」くらいの軽い気持ちで投稿や応募をしていた。
本気で営業をかけていたわけではないし、アクティブに動いた期間も長くはなかったが、それでもある程度の反応はあるだろうと、どこかで期待していた部分もある。
しかし最終的に、自分が実際に参画している案件は、結局すべてエージェント経由のものだった。
この記事では、なぜそうなったのかを振り返ってみたい。
目次
SNS経由での案件獲得が難しかった理由
短期間での契約終了というリスク
Wantedly経由で契約に至った案件もあったが、それは2カ月という短期間で契約終了となった。
スキル的な部分がマッチしなかったと先方は仰っていたが、そうした想定外のタイミングで契約が打ち切られるリスクを考えると、やはりエージェント経由の安心感は大きいと感じる。
そもそも、こちらが事前に提出していたポートフォリオサイトを見ていなかったのか?という疑問も残り、なおさら不安定さを感じた。
募集しているようで、実はしていない(もしくは温度差がある)
「募集している」と記載されている企業に応募しても、スルーされることが圧倒的に多い。多すぎた。
スキル不足なのか、相性が悪いと感じられたのか、それともただ見ていないだけなのか……。求職活動とはそういうものかもしれないが、なぜ不採用だったのかの理由すらも分からず、どこを改善すればいいかも不明のままである。
また、採用担当者と現場担当者との温度感にもギャップを感じる場面があった。
チャットでのやり取りは非常にスムーズに進んだのに、いざ面談になると、相手は私の名前も経歴も知らず、何ができるかも把握していない状態で現れたのだ。担当者に呼ばれたからとりあえず面談しただけのような温度感で、採用担当者と現場担当者の認識のズレを感じた。
条件を掲載しておらず、応募を躊躇するケースも多い
Wantedlyでは、そもそも稼働量や希望スキルが曖昧に書かれていることが多く、応募時にこちらから「週◯日なら対応可能です」と明示しないといけなかった。だが、そうして提示した情報に対して企業から何の反応もないことが多く、一方通行で終わるケースが目立った。
また、YOUTRUSTでは「#気軽にカジュ面」といったタグが使われているものの、実際には金額や稼働量が記載されていない募集も多く、内容が不透明なままでは応募に踏み切ることができなかった。結果として、「気軽」にはアクションを起こせないというジレンマがあった。
2024年に施行された「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」では、報酬額や納期、業務内容などの明示が発注側に義務づけられているが、SNS上の募集ではこうした法的要件が守られているかどうか確認しづらいのが実情だ。制度が整っても、実態としての不透明さは依然として残っていると感じた。
エージェント経由での案件参画に至るまで
一方、エージェント経由の案件では、稼働量・金額・スケジュールの交渉をエージェントが担ってくれる。その分、こちらが使う精神力は圧倒的に少ない。
過去には、個人契約でのトラブルもあった。稼働量のすり合わせができていなかったり、金額面で揉めたり。曖昧な指示しかされず、どう進めていいか分からないまま確認したら怒られたこともある。指示系統が曖昧なまま業務を進めざるを得ず、結果的にちゃぶ台返しをくらった経験もあった。そういった疲弊を経験してから、エージェントの「壁」の存在がありがたく思えるようになった。
自分はただ、他の案件との兼ね合いやスケジュール調整を考えるだけでいい。他のことを考える必要がないというだけだが、業務に集中できるのは本当に大きい。
マッチングの精度とやりとりのスムーズさ
また、エージェントに長く登録していると、こちらのスキルや好み、過去の参画案件などを把握してくれている。
「この会社、合っていると思うんですがどうですか?」 「この業務内容なら、ふじわらさんにぴったりかと」
そんなふうに、提案の時点でかなりマッチしていることが多く、意思決定も早かった。これがもしゼロからDMで話を始めていたら、かなりの時間と労力がかかっていただろう。
SNSとエージェント、それぞれのメリット・デメリット
| 観点 | SNS(Wantedly/YOUTRUST) | エージェント |
|---|---|---|
| 自由度 | ◎:自分で主導できる | △:条件に縛られやすい |
| 単価 | ◯:交渉次第で高くもなる | ◯:手数料差し引いても安定 |
| 条件の明確さ | △:不透明なケースが多い。※法改正により明示義務はあるが、実態は伴わないことも | ◎:すべて事前に提示される |
| 法的安全性 | △:フリーランス新法の適用が不十分なケースがある | ◎:契約書を交えたやり取りが基本 |
| 精神的コスト | △:交渉や判断の負担が大きい | ◎:やりとりが楽で、相談できる |
| 信頼性 | △:初対面・不明点が多い | ◎:ある程度フィルターを通過している安心感がある |
SNS経由は自由度が高い一方で、「相手の温度感が読めない」「条件のすり合わせが難しい」などの難しさもある。逆にエージェントは交渉やマッチングを代理してくれる分、条件やスタンスが合えば非常に心強い存在になる。
今後は「併用」が現実的かもしれない
SNSでの募集も、たしかに可能性はある。ただ、自分がある程度忙しくしていたり、リソースが限られている中では、エージェント経由での効率的なマッチングが助けになる。
いまの自分にとっては、どちらか一方ではなく、状況に応じて手段を使い分けることが一番現実的だと感じている。
「この案件はSNSで探してみよう」「今回は条件が厳しいから、エージェントに頼ろう」──そんな柔軟さを持っていたい。