検索という行動は、これからどう変わっていくのか

検索という行動は、これからどう変わっていくのか

「何かを調べる」って、もっと無意識だったはずだ。 検索窓に単語を入れて、出てきたリンクを眺める。それだけで、十分だった時代があった。

けれど今、その“当たり前”が音もなく塗り替えられている。 AIが答えをくれる時代になった。しかも、文章で。会話で。すべてまとめて。

一覧から答えへ──検索の出口が変わった

GoogleのAIによる検索概要表示(SGE)や、Perplexity、Bing AI、ChatGPTのような検索補助ツールの台頭により、情報との出会い方が変わり始めている。

リンクの一覧から、自分で選び、読む。それがこれまでの検索。 でも今は違う。「どれが正しいか?」を判断する前に、「こういう答えです」と提示される。しかも、引用付きで。

これまでは“探すこと”自体がユーザーの仕事だった。これからは、“問いを投げること”が中心になっていく。

曖昧な質問にも、AIは付き合ってくれる

昔の検索は、“どう聞けば出るか”に頭を使っていた。 単語の順番を変えたり、除外キーワードを付けたり。 だけど今は、もっと自然に、ふわっとした聞き方でも返してくれる。

たとえば、

「子連れで行ける、あんまり混んでない関東の温泉ある?」

みたいな、人に相談するような聞き方でも、それなりに答えが返ってくる。

従来検索ではノイズになっていた「余分な言葉」が、いまは意味を持つ。 それが、検索という体験の質を変えている。

検索は「個人対応」されるようになる

同じ質問をしても、人によって違う答えが返ってくる未来が近づいている。

それは、AIが履歴や好みを学習してくれるから。たとえば、

  • 健康志向の人にはヘルシーな店を
  • 子育て世代にはキッズスペース付きの施設を

そういう“自分用にカスタマイズされた検索”が、今後より自然になっていく。

MicrosoftのBing Chat調査では、AI検索を使う人の約63%が「従来の検索より“自分向けの提案”に感じた」と回答している(2023年データ)。

そもそも「検索している感覚」がなくなるかもしれない

AIスピーカーで話す、LINEで相談する、車の中で「ちょっとおすすめのカフェ教えて」と言う。

どれも“検索”なんだけど、もはや検索窓にキーワードを打ち込むような操作はしていない。

「検索=何かを入力するもの」から、「ただ話すだけの行為」になっていく。

そしてそのまま、予約まで済ませてしまう。買い物も完了する。 検索体験が、購買や意思決定と溶け合っていく。

AI検索のUXがもたらす“副作用”もある

便利さの裏には、当然リスクもある。

AIの回答に“そうなんだ”と納得してしまったとき、それが本当に正しいのか、誰の意見なのかが曖昧になりやすい。

引用元が書かれていても、それを読み直す人は少ない。 つまり、情報の出所より、回答そのものの“語り口”が信頼性を持ち始める。

そのとき、正解よりも「それっぽさ」が重視されてしまうと、情報の偏りや誤情報が加速してしまう可能性もある。

検索は「行為」から「体験」へと変わった

  • キーワードを打ち込んで探す、という行為から
  • 問いかければ答えが返ってくる、という体験へ

情報を選ぶ時代から、情報に選ばれる時代へ。 ユーザーは知らず知らずのうちに、情報に“導かれる側”になっていく。

だからこそ、

  • 答えを鵜呑みにしない習慣
  • 複数の視点にアクセスする力
  • 自分で深掘りする意欲

そういったものも、これからの検索UXには欠かせないのかもしれない。

参考リンク・出典

Mimu Fujiwara

フリーランスのWebデザイナー/ディレクター。 企画設計からデザイン、コーディング、WordPress構築、公開後の運用支援まで、Web制作を一貫して対応しています。 制作を“納品で終わり”にせず、運用面での継続的な改善やサポートにも力を入れています。 柔らかく親しみやすい対応を心がけながら、「相談しやすく、任せやすいパートナー」を目指して活動中です。