企画・戦略立案にAIを活かす ひとりブレストの強力な相棒としての実践術
Webサイトやキャンペーンを立ち上げるとき、「まず何から決める?」と考えると、ペルソナや訴求軸、導線設計、KPIなど、やるべきことが山のように出てくる。
昔はそれらを手探りで積み上げていたけれど、今はAIが“相談相手”として使える場面が増えてきた。
「企画や戦略は人間の仕事」
そんな考え方にちょっと変化が起きつつある中で、AIをどう使い、どう頼り、どう見極めるか。この記事では、企画や設計のフェーズで実感しているAIとの付き合い方をまとめてみる。
ペルソナ設計とカスタマージャーニーの壁打ち相手に
「このサービス、誰に届けたいんだっけ?」という問いから始まる企画会議。その場でいきなり具体的なペルソナ像を出すのは、案外むずかしい。
そんなとき、AIに「20代の女性で、副業に興味がある層の悩みをリストアップして」などと投げると、ざっくりとしたニーズや感情的ハードルを出してくれる。もちろんそのまま使うわけではないが、“考えるきっかけ”としては十分すぎるくらい役立つ。
カスタマージャーニーも同様で、「どこで躓きやすい?」「どんな疑問を持ちそう?」と聞いてみると、意外な視点をくれることがある。誰かと壁打ちしながら考えたいとき、AIはちょうどいい距離感の相棒になる。
情報収集・競合リサーチの初速が早まる
企画段階では「他社はどうしてる?」「似た事例はある?」という調査も欠かせない。
検索ワードをいろいろ変えて調べるよりも、「BtoB SaaSのオンボーディング改善事例を5つ教えて」などとAIに聞いてしまった方が早いことも多い。
もちろん最新性や正確性は確認が必要だけれど、「調べるべき論点」を整理するスピードが一気に上がるのは間違いない。
一人でやっていると視野が偏りがちなリサーチ作業も、AIがひと通りリストアップしてくれることで、取りこぼしに気づけるようになった。
訴求軸の整理にも使える
いざ企画を詰める段階で、「結局このサービスの魅力って何?」「他と何が違うの?」という根本的な問いに立ち返ることがある。
そんなとき、AIに向かって「〇〇というサービスがあるとして、主な訴求軸を5つ挙げて」などと聞いてみると、自分では思いつかなかった切り口が出てくることがある。
それをきっかけにチーム内で「この方向性はターゲットに響きそう」「いや、これだと抽象的すぎるかも」などと議論が活性化することも。
答えをもらうのではなく、問いを深めるための材料としてAIを使う──そんなスタンスで使うと、企画の密度が一段上がる感覚がある。
スライドや構成案の“たたき台”づくりに
企画書や提案資料を作るとき、いきなり手が止まってしまうことがある。
そんなとき、「このサービスの紹介資料を作りたいんだけど、構成案を出して」とAIに頼んでみると、タイトル、章立て、内容要素までざっくりまとめてくれる。
もちろんそのままでは使えないけれど、「とりあえずこの順番で整理してみようかな」と思えるだけでも前に進める。
自分の思考をゼロから組み立てるのではなく、AIが出した“たたき台”を叩くことで、スピードも精度も上がる実感がある。
おわりに
企画や戦略は「人が考えるもの」という前提は、これからも変わらないと思う。
でも、ひとりで考えるより、誰かに問いかけたり、壁打ちしたりした方が深まるのも事実。その“誰か”の代わりをAIが担ってくれるなら、使わない手はない。
情報整理、視点の棚卸し、仮説のたたき台づくり──そういった部分でAIを使うことで、企画や戦略のスタートラインがグッと滑らかになる。これからのプランニングは、“ひとりブレスト”の強力な相棒としてAIを活用する時代かもしれない。