AIは分析をどう変える?「見る」から「気づく」へ進化するWeb改善の現場
「分析」と聞くと、GA4の画面とにらめっこしてグラフを眺める……みたいな、ちょっと地味で難しそうな印象を持つ人も多いかもしれない。
でも実際には、「このページってちゃんと読まれてる?」「改善って何から着手すればいい?」といった素朴な問いに、数字を根拠として答えるのが分析の本質だと思っている。
そして今、その“問いに気づく”部分に、AIがじわじわ入り込んできている。
この記事では、日々のWebサイト運用や改善に関わる制作者の視点から、「AIで分析がどう変わってきているか」を整理してみる。
何を見ればいいかを教えてくれる
GA4やヒートマップツール、コンバージョンレポート……データはあるのに、どこから見ていいか分からない。そんなときにAIが使える。
たとえば、「最近ページの離脱率が高いけど、原因ありそうな指標をピックアップして」と聞くと、直帰率・滞在時間・クリック分布などを組み合わせて整理してくれたりする。
人間が“気づきにくい異常値”を先に拾ってくれるのは、分析の初動としてかなり心強い。
仮説づくりを支えてくれる
数字を見て終わりではなく、「なぜそうなったのか?」を考えるところに、分析の難しさがある。
でも、そこもAIがある程度支援してくれるようになってきた。
「このバナーのクリック率が急に落ちたのはなぜ?」といった質問に対して、AIが「他の導線に流れている可能性」や「ファーストビューとの競合」など、複数の仮説を出してくれる。
答えをもらうというより、“視点を広げる相棒”として使うとちょうどいい。
レポート作成・共有の手間を減らしてくれる
定例レポートや週次の振り返り資料を作るとき、AIに「このデータをもとに要点をまとめて」と投げると、テキストベースのサマリーを作ってくれる。
「全体的にコンバージョンは増加傾向だが、モバイルの滞在時間が短くなっている」など、変化のあるところをピックアップしてもらえるので、“報告のための分析”ではなく、“改善につながる発見”に時間を使えるようになってきた。
判断するのは人間 だけど、精度は上がる
AIはあくまで「材料」を出してくれる存在。改善施策を打つかどうか、どれを優先するかといった判断は、やっぱり人間が担う部分。
でも、AIが異常値や傾向の兆しを先に拾ってくれることで、「本当に注視すべき数字」が見えやすくなったのは間違いない。
感覚だけに頼らず、“仮説→検証→改善”の回転数を上げる土台ができてきたとも言える。
おわりに
分析というと、職種や得意不得意で敬遠されがちだったけれど、AIによって“とっつきやすさ”が少しずつ増してきた印象がある。
最初からすべての数字を見ようとしなくても、「何から見ればいいか」「どう考えればいいか」をAIに相談できるだけで、ずいぶんとラクになる。
これからの分析は、“見る”より“気づく”が主戦場。
データとAIを味方につけて、制作者自身が改善の主導権を持てる環境を少しずつ整えていきたい。