ChatGPTとCursorを使い分けていたら、思考ログがそのまま可視化されていた話
AIを「どっちが優秀か」で考えなくなった話
少し前まで、「ChatGPTとCursor、結局どっちを使うのが正解なんだろう?」そんなことを考えていました。でも、実際の仕事を振り返ってみると、そもそも競わせるものではなかったんですよね。
Cursorの年次振り返りデータを見ていて、「あ、これは完全に役割分担されてるな」と気づきました。
しかもそれは、意識して設計したというより、ディレクター業務を続けた結果、自然にそうなっていた、という感覚でした。
この記事でわかること
- ChatGPTとCursorは役割分担が明確であり、それぞれが思考と判断の場所として活用されている
- ディレクターの仕事は考える時間が長く、仕様が固まる前の作業が重要である
- ChatGPTは思考の下書き置き場として活用され、Cursorは判断と確定の場所として使われている
- AIを2つ使うことで作業指示や仕様の骨子が効率的に作成され、手戻りが減少した
- AIの使い分けは仕事の性質により適しており、構成・情報設計が主戦場となる人には適している
- ChatGPTとCursorの使い分けにより、考える・決める・残すという流れが自然につながり、作業が楽になる
ディレクターの仕事は「考えている時間」が一番長い
ディレクターの仕事って、
- 仕様が固まる前が一番しんどい
- 情報がバラバラ
- 関係者の言葉が微妙に噛み合っていない
みたいな時間が、かなり長いですよね。
このフェーズでは、
- コードは書かれない
- デザインもFIXしない
- 成果物が目に見えない
ので、「何も進んでいない感覚」になりがちです。でも実際は、一番“考えている”時間でもあります。
私の基本的なAIの役割分担
ここで、前提として私のAIの使い分けを整理しておきます。
ChatGPTの役割
- 構成を考える
- 情報を整理する
- 壁打ちする
- まだ言語化できていない考えを文章にする
- Cursorに渡すためのプロンプトを作る
Cursorの役割
- 思考が詰まったときの突破口
- 判断が必要なタイミング
- 仕様が固まった後の整理・実装
- マニュアル化・ドキュメント化
- 「形にして残す」フェーズ
この分担を前提にすると、Cursorの振り返りデータもかなり納得感のある見え方になりました。
ChatGPTは「思考の下書き置き場」
ChatGPTを使うとき、私はあまり「正解」を求めていません。
- まとまっていない
- 言葉が荒い
- 結論が出ていない
そんな状態のまま投げています。
目的はシンプルで、
自分の考えを、いったん外に出すこと
です。
ChatGPTは、構成前の構成を作る場所、言い換えると「思考の下書き置き場」みたいな感覚です。ここで整理した内容を、そのまま、あるいは少し整えてCursorに渡すプロンプトにします。
Cursorは「判断と確定をする場所」
一方で、Cursorを開くタイミングはかなり明確です。
- 自分の考えがループしているとき
- 仕様として成立するか判断したいとき
- ドキュメントとして残す必要があるとき
このフェーズでは、
- 厳しめの指摘
- 構造的なチェック
- 実装・運用前提での妥当性
を求めます。
感覚としては、Cursorはディレクターの決裁補助席みたいな位置づけです。
振り返りデータを見ると、この分業がそのまま出ていた

Cursorの振り返りデータを見ると、
- トークン数がかなり多い
- でも利用には波がある
- 重要な時期に集中して使われている
という傾向がはっきり出ていました。
特に印象的だったのは、
- 常に使っているわけではない
- でも「詰まりどころ」では必ず出てきている
という点です。
意識していたわけではありませんが、ログは正直でした。
なぜこの分け方がディレクターに向いているのか
この使い分けを振り返って思ったのは、
- いきなりCursorで考えない
- いきなりChatGPTで完結しない
というのが、ちょうどよかった、ということです。
- ChatGPTだけだと、決めきれない
- Cursorだけだと、判断が早すぎる
役割を分けることで、
考える → 決める → 残す
という流れが、自然につながりました。
AIを2つ使っても、二度手間にはならなかった
「AIを2つ使うと、逆に手間が増えない?」と思われるかもしれません。
でも実際は逆でした。
ChatGPTで作ったプロンプトが、
- Cursorでの作業指示
- 仕様の叩き台
- ドキュメントの骨子
になり、手戻りがかなり減りました。
考える工程を省いたのではなく、工程を分離しただけ、という感覚です。
この使い方が合うディレクター・合わないディレクター
合う人
- 構成・情報設計が主戦場
- 曖昧な要望を翻訳する仕事が多い
- 「決める前に考えたい」タイプ
合わない人
- 仕様が最初から固まっている
- AIに即答だけを求めたい
- 思考プロセスを省略したい人
どちらが良い・悪いではなく、仕事の性質の違いだと思います。
まとめ|AIは「考える場所」と「決める場所」を分けると楽になる
振り返ってみると、
- ChatGPT=考えるための外部メモリ
- Cursor=判断と確定のための作業台
という役割分担でした。
トークン数が多いか少ないかは、正直おまけです。
大きかったのは、
一人で考え続けなくてよくなったこと
ディレクターこそ、AIを「答えを出す存在」ではなく思考を外に出す相棒として使う価値がある。
そんなことを、振り返りデータから改めて実感しました。