コミュ障のフリーランスが信頼されるために心がけていること
私は、自分のことを「コミュ障」だと思っています。理由はシンプルで、雑談ができないからです。
初対面の相手と場を和ませる会話が続かず、沈黙が生まれると、何か話さなければと焦ってしまう。結果として頭が真っ白になり、うまく言葉が出てこない。
Web業界に入った当初は、こうした状態を「致命的な欠点」だと捉えていましたし、その感覚は今も完全には消えていません。
要件定義の場で言葉が出ない
特につらいと感じるのは、要件定義や打ち合わせの場です。
クライアントから「この要件の意味が分からないので、かみ砕いて説明してもらえますか?」等、質問をされると頭が真っ白になることがほとんどです。
言葉を選ぼうとするほど思考が止まり、結果として無言になる。
沈黙が続いたあと、「回線が切れましたか?」と言われたこともあります。
こういうことが起きる度に、自分はこの仕事に向いていないのではないかと感じますし、正直に言えば、今でも同じように感じます。
「コミュ障=コミュニケーション不可」という誤解
そんな中で、ひとつはっきりしてきたことがあります。
テキストでのやり取りは、そこまで苦ではないということです。SlackやBacklog、ドキュメントでの説明であれば、比較的落ち着いて対応できます。
そこには、次のような理由がありました。
- 言葉を選ぶ時間が確保できる
- 思考を整理する余裕がある
- 構造として説明できる
これらは、私にとって大きな助けになっていました。
このとき初めて、「自分はコミュニケーションそのものが苦手なのではない」と理解しました。
苦手だったのは、
- 雑談
- 口頭での即時説明
- 考えながら同時に話すこと
といった、特定の形式だったのです。
情報の受け取り方の個人差
もうひとつ腑に落ちたのが、情報の受け取り方には個人差があるという点でした。
一般的に、人の理解の傾向は次のように分けられると言われています。
- 視覚優位:文字や図、構造で理解しやすい
- 聴覚優位:会話や音声、空気感で理解しやすい
私は明らかに視覚優位でした。
会話の流れや場の空気を読むよりも、「何が前提で」「何が決まっていて」「どこが未確定か」を視覚的に整理した方が、理解しやすい。
この気づきによって、「克服しなければならない欠点」だと思っていたものが、「調整すれば活かせる特性」だと捉え直せるようになりました。
コミュニケーションを諦めない姿勢
ここで誤解してほしくないのは、「話せないからテキストで済ませる」という考えではない、という点です。
私が大切にしているのは、相手と理解し合うこと自体を諦めない姿勢です。
- 打ち合わせ前に論点をテキストで整理する
- 会議後に必ず議事録を残す
- 判断軸や前提条件を明文化する
- 曖昧な点を曖昧なままにしない
饒舌であることよりも、誠実に伝えようとする姿勢の方が、結果的に信頼につながる場面は多いと感じています。
自己理解と仕事のスタンス
とはいえ、雑談が得意になったわけではありません。今でも打ち合わせの場で言葉に詰まることはあります。
それでも仕事を続けられている理由を振り返ると、
- 自分が何を苦手としているのか
- 何であれば安定して対応できるのか
- どうすれば再現性を持たせられるのか
を、感情ではなく「設計」として捉えるようになった点に行き着きます。
私は、口数の多いフリーランスではありません。
その代わりに意識しているのは、考えることをやめないこと、整理を放棄しないこと、そして伝える責任から逃げないことです。
このスタンスが合う方と、これからも一緒に仕事ができればと考えています。