フリーランスが地獄を見る「曖昧クライアント」の特徴5選 ― 早期に見抜くための判断軸

フリーランスが地獄を見る「曖昧クライアント」の特徴5選 ― 早期に見抜くための判断軸

努力では救えない“構造的な地獄”がある

フリーランスを始めた頃、「どんな案件でも頑張ればなんとかなる」と思っていた時期がありました。でも、どれだけ丁寧に対応しても報われない案件に出会ったとき、ようやく気付きました。原因はスキルではなく、構造そのものにあることも多いということに。

相手の体制や判断軸が曖昧だと、どんなに頑張ってもすれ違いが起きてしまう。この記事では、私自身の経験を通して見えてきた“曖昧クライアント”の特徴と、少しでも早く気づくための視点を紹介していきます。

特徴①:目的が“きれいにしたい”しかない

「サイトをきれいにしたい」「見た目をよくしたい」という言葉。最初は前向きに聞こえるし、悪気があるわけでもないと思います。でも、実際に進めていくと“きれい”の定義が人によって違っていて、どこにゴールを置けばいいのか分からなくなることがありました。

完成しても「なんか違う」と言われるケースは、こうした目的の曖昧さから生まれることが多い気がします。

ポイント: ヒアリングでは「なぜきれいにしたいのか」「その先にどんな変化を期待しているのか」を丁寧に聞くのがおすすめです。それが「問い合わせを増やしたい」「採用を強化したい」といった具体的な目的に落とし込めると、方向性が見えやすくなります。

特徴②:決定権者が不明 or 一人だけ

担当者がいても、実際に最終判断をするのは別の人だったり、承認フローが曖昧なまま進む案件に出会うこともあります。途中までは順調でも、最後に上長が出てきて全修正…ということが起きると、お互いに疲弊してしまうんですよね……。

ポイント: 契約前に「最終的なご確認はどなたがされますか?」と確認しておくのが安心です。少し勇気がいりますが、これを聞くだけで後の混乱を防げる可能性が高まります。相手にとっても整理のきっかけになることがあります。

特徴③:社内で意見をまとめていない

担当者の方が「とりあえず始めたい」と前のめりでも、実は社内で合意が取れていなかった…そんな状況も何度か経験しました。途中から他部署が関与して方向性が変わると、最初の設計からすべて見直しになってしまうこともあります。

ポイント: 依頼時に「社内ではどのくらい共有されていますか?」と確認しておくのが大切です。「あとから誰かが出てくる可能性」があるなら、その分スケジュールや見積もりに余裕を持たせておくと安心です。

特徴④:“任せます”といいつつ口を出す

「全部お任せします」と言われて安心していたら、途中から「やっぱりこっちのほうがいいかも」と細かく意見が入る――そんな経験もあるのではないでしょうか。悪気があるわけではなくても、「自分では決めきれないけど、出来上がるものには口を出したい」というケースは意外と多いです。

ポイント: 「任せます」と言われたら、そのまま受け取らず「A案とB案、どちらが近いイメージですか?」と選択肢を提示してみるのがおすすめです。比較しながら話すことで、相手の意見も引き出しやすくなります。

特徴⑤:制作会社を避けてフリーランスを“安く便利な代替”として扱う

制作会社を通さずに、コストを抑える目的でフリーランスに依頼するケースもあります。もちろんそれ自体が悪いわけではありません。でも、ディレクションや要件定義の価値を理解してもらえないと、「安く頼んだのに進まない」「思った通りじゃない」と誤解を招いてしまうことがあります。

ポイント: 要件定義や進行管理を含む作業は、別料金として見積もりに明記するのがおすすめです。線引きをすることで、役割の範囲を明確にし、トラブルの防止につながります。こうした説明を最初にしておくことで、信頼関係の土台にもなります。

見抜く力=自分を守る力

曖昧なクライアントとのトラブルは、誠実さや努力だけでは解決できないこともあります。けれど、経験を重ねる中で少しずつ「違和感に気づく力」が育っていく気がします。

無理をして全部引き受けるより、「この案件はまだ準備が整っていないのかもしれない」と判断できること。それが、フリーランスとしての成長のように感じました。

案件を選ぶことは逃げではなく、自分のリソースを大切にする選択。同じように悩む誰かに、この経験が少しでも参考になれば嬉しいです。

Mimu Fujiwara

フリーランスのWebデザイナー/ディレクター。 企画設計からデザイン、コーディング、WordPress構築、公開後の運用支援まで、Web制作を一貫して対応しています。 制作を“納品で終わり”にせず、運用面での継続的な改善やサポートにも力を入れています。 柔らかく親しみやすい対応を心がけながら、「相談しやすく、任せやすいパートナー」を目指して活動中です。